CAVAとピンチョス

かなり偏ったBL感想文

王子と乞食/河井英槻(Libre)

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王子と乞食(河井英槻/Libre)


2004年連載開始、2018年時点でマガジンB-BOYで掲載中(本編は終了、現在エピローグを掲載中)の作品。



■適当なあらすじ■

舞台は19世紀ロンドン。
世界初の万国博覧会の機械部門では、新興シャービーズと古豪バスカヴィルの一騎打ちと噂されていた。

新興シャービーズの社長はまだ少年だが天才と言われており、古豪のバスカヴィルでさえ恐れる存在だった。
なんとしてもシャービーズに打ち勝ちたいバスカヴィルは、自身の愛人である「ユキ」という美青年をスパイとして送り込むことに。

しかし、シャービーズの社長とユキは3年前に一度だけ仮面舞踏会で出会っていた。

女装をさせられ参加していたユキとすれ違ったシャービーズの少年社長カイは、彼に一目惚れし、一生懸命口説こうとする。
そんなカイにいつしかユキも心を惹かれ、二人はダンスを踊る。
しかし、ユキの見張り達に二人は引き裂かれ、小さかったカイは歯も立たず、いつか力をつけて絶対にユキをバスカヴィルから奪ってやる、と心に誓う。

そして3年後、パスカヴィルを脅かす存在にまで成長したシャービーズ。万国博覧会を目前にし、バスカヴィルはシャービーズに社長秘書としてユキを送り込み、そこで二人は再開する。

ユキは初日に挨拶した時にすぐにカイが3年前に出会った少年だと気づくが、自分は舞踏会では女装して仮面をつけていたため、カイには気づかれていないと思っていた。
しかし、カイも気づいていたがユキがはじめまして、と挨拶したので初対面のふりをする。

それから、カイもユキも本心を隠したまま、社長と秘書という立場を続けるーーー。



孤児でまさに乞食のような生活を送っていたユキはパスカヴィルに拾われ、愛人生活を送っていた。
それに不満を持っていたわけではなかったが、仮面舞踏会でカイに出会ってから、パスカヴィルへの恩と恐ろしさと多少の愛、そして自分の正体を知った上で愛してくれる少年カイとの間で揺れ動いていた。

同性愛が死罪だった19世紀ロンドンで巻き起こるカイとユキの恋の行方は!!?




ーーーこんなんでいいのかな?






↓     ↓     ↓     そして感想文!!     ↓     ↓     ↓  


 

まず謝ります。
そして当時の自分に喝を入れたい!

数年前に雑誌で初めて出会ったんですが、しかもめっちゃ重要なシーン。
何かのパーティーの時で、ユキが大事な物を金庫から奪って、、、というようなシーン。
多分シャービーズの権利書で、うろ覚えなんですが、カイはそれを知ってでもユキを逃すという。

当時の自分を殴りたくなるんですが、気になったのにカイの小ささに、「この設定は無理!」と一蹴してしまったんです。>大バカ者!!!

とにかく子供はダメで…当時はまだ河井先生の作品も読んだことがなかったので、
一蹴です。>大バカ者!!!!!

それから河井先生の他の作品(青春花心中)にお目にかかる機会があり、気になる存在になって、B-BOYで王子と乞食も読むようになりました。

がーん!!!

ユキ、めっさ可愛い…
パスカヴィルの愛人っていう設定もイイ!
で、カイとはどうなってんの?
まさかこんなガキンチョ(カイ)がユキに突っ込むなんて考えられなかったので、、、
ユキの攻めってどうかなぁと思い、ちょっとまた読むのが遅くなってました(T T)

B-BOYも買ったり買わなかったりだったし、「連載」ではなかったから、、、
本当に今後悔してます。

気づいたらユキはバスカヴィルを殺し、カイの元から姿を消してしまっていた。
数年後、再開してラブラブな感じで最終回!

この時まだどっちがどっちかわからず、でも、雰囲気的にカイが攻め?
と思ったら急に過去を知りたくなったんです!!(なんて現金な)

しかしー!「王子と乞食」本屋にないし。
ネットで探しても新刊がなく。
またしばらく経ちます。

そして、雑誌でエピローグが始まってから、どうしても我慢できなくなってネットの古本を購入。
長い道のりだったー

で、感想。

泣けます。

ショタは全く興味なく、むしろ読みたくない域なんですが、
河井先生の作品っていうのと、ユキのことがもっと知りたい!っていう気持ちが勝って、挑みました。

そして、さすが河井先生…としか言いようがない!

カイは当時ユキの背丈の半分しかない(言い過ぎですが)ようなガキんちょですが、
めっさ男前です。
仮面舞踏会でユキに一目惚れし、バスカヴィルの愛人と知ってもいつか力をつけて絶対に奪うんだ!と心に決め、死に物狂いで仕事を頑張りました。
そしてまだ名もない会社を、バスカヴィルと肩を並べるほどの規模にした。
もの凄いことです。ユキへの執着心が凄い!

そして、ユキもカイと出会ってしまってからは今までの自分では居られなくなってて…でも、名前も知らない少年に恋していてもしょうがない、という日々が続いて。

しかし3年後、ふたりは運命のように再開。
ユキはシャービーズの社長がカイだとは知らず、スパイとして出会うことになり驚きますが、カイが自分のことを気づかないと思って初めましてと挨拶する。
しかし、カイはすぐに気づいちゃうんですねー。
それだけユキを愛してたんです。すごいガキです。

しかも子供のくせにユキが初対面を装うのでそれに付き合って。
ちっさいのに大人です!ユキより上手です。
なんたってユキを奪うと決めて3年かけて必死に会社を大きくしたんですから。
ガキの3年なんて長いです。
名前も知らず一目惚れした相手にそこまで執着できるとは。

見た目も行動も発言も子供なんだけど、考えてることはユキより冷静で大人だなーって思える場面が多く、ショタ…ってことを忘れてしまうくらい。

それからユキも秘書を務めるうちに、だんだんとカイは自分のことに気づいているかもしれない、と思うようになりますが、カイが何も言わないのを良いことに、黙って秘書を続けます。
いつからかはわかりませんが、二人は体の関係をもつようになり。

そして、いつまでたってもスパイとしての成果を報告しないユキに、バスカヴィルは不振に思って調査をし、カイとの関係がバレてしまう。
食事中に問いただされてもシラを切ったが許してもらえず、ユキは怪我をさせられ…。
それでも辛い体のままユキはカイに不振に思われることを気にして出勤するが、
すぐにカイにバレてしまい、カイはユキを連れて昔住んで居たスラム街のアパートへ無理やり連れて行きます。

そこでカイは、ユキに好きな奴には優しくしてもらっているのかって聞いみたり。
そこからユキは反撃にでますが(この反撃可愛くて好き…)、結局、カイは遂に仮面舞踏会で会ったよな、告白。

カイはユキに一目惚れしていつかバスカヴィルから奪ってやる!という思い一心で仕事を頑張ってやっと張り合えるところまできたし、好きだから黙っていたけれど、
反面、カイはいつも嘘ばかりついて自分を裏切り続けてきて…そのことが辛いのと悔しいのと許せないのとで、時折殺したいとさえ思うような憎しみがあるのも本当で。
でも、それでもやっぱり最終的にはそんなユキでもどうしようもなく愛していて、バスカヴィルの愛人として彼が幸せそうに見えないから、この場所を教えたのは、いつかどうにも逃げ場がなくなったときにここを使えば良い、と提案し、、、

何これ
めっさ切なー・゚・(P'д`q。)・゚・
カイが格好良すぎる。

このアパートのシーン、めっさ好きです(T T)

てかね、最後の方から読んだので、二人が最初から騙しあってたというか、少なくともユキはスパイなのであれですが、カイもわかっていて付き合っていたとは知らなかったので…かなり衝撃でした。
最初方わかっていながらどういう話が描けるのー!?って。
ホントこれは、河井先生にしかできない技だと思います。神!

カイはユキを手に入れたくて一生懸命上り詰めて、まだガキだから本当に、ただただひたすらに頑張ってきて。
それに対してユキは、常に後ろめたさを抱えながらもそれでもどうしようもなくカイに惹かれ、でもこれは絶対に叶わぬ恋と思って、万博が終わったらバスカヴィルの前からもカイの前からも消えようと思ってしまった、、、
ユキも頭が良いんですが、バスカヴィルから逃げられるとは思えなくて、カイと一緒になろうと思ったらきっとカイは殺される、と思っていて。

わーーーー悲しい話ですーーー(T T)

ぶっちゃけこんなちっさなガキと、ユキ。
ビジュアル的に泣けるとか、端からみたらありえねーと思うんですが、
泣けますって。

カイの懐の深さと、ユキの感情がぁぁぁ

ネガティブも大嫌いなんですが、ユキのネガティブさは好きです。

てかもーお互い一途で!
まさに王子と乞食、、、ロミオとジュリエットか、みたいな。

単純といえば単純ですが、なかなか深いです。
BLの域を超えています。古き良き時代の切ない少女漫画のようです。
河井先生の作品は毎度そうなんですが…だからか、ほんとツボなんです。


てかですね、この作品、雑誌初掲載から実に6年という時を経て、やっとコミックスになったのね。
そして…1巻発行から今8年経ってますが( ´Д`)・;'.、

本編は完結し、現在エピローグ掲載中ですが…2巻の発行はいつやねん!

1巻後、私が初めて読んだ回までが早く読みたいので、早く出版してください〜!

><

とにかく私はユキの幸せな姿がみたいです!!!