ショーが跳ねたら逢いましょう/えすとえむ(東京漫画社)
ショーが跳ねたら逢いましょう(えすとえむ/東京漫画社)
2006年発行、えすとえむのデビユー作。
表題作と短編を含む全7作品収録。
■あらすじ■
〜「カーテンコール」(表題作の前編)〜
モダンバレエダンサーのテオ・ガヤルドは母親を、自身のカルメンの舞台公演を観に来るために乗った飛行機事故で亡くした。
子供の頃から母親に褒められるのが嬉しくて舞台に立っていたテオ。
彼は母を失い舞台に立つ意味も失ってバレエ界を去り、ハリウッドへ進出した。
しかし周りの評価とは裏腹に、生き甲斐を感じる事もなく、ここは自分の居場所ではないと感じていた。
その日も共演者だったダレン・ファーガスという人気男優と一緒にインタビューを受けたが、インタビュー後、財布を忘れホテルまで送ってくれるというダレンの車の中で、いつもつまらなそうだ、と指摘される。
そして、2年も踊っていないのに気が狂わない自分に絶望していると打ち明ける。
その後、ホテル手前の信号で車を降りる際、テオの方からダレンにキスをし、満更でもなさそうだな、と言ってダレンを怒らせると、冗談だよ、と言って去って行った。
〜「ショーが跳ねたら逢いましょう」〜
ハリウッドの人気男優ダレン・ファーガスは女性関係でスクープの耐えない男だったが、元バレエダンサーのテオ・ヤガルドと出会い、前回別れ際に彼にキスをされてからといものある悩みをかかえていた。
そんなある日、事務所から「何でテオとキスしているんだ!?」という電話が入る。
先日のテオとキスシーンをパパラッチにスクープされていたのだ。
三日後、仕事でテオと再会したダレンはテオにあのキスは冗談だったんだろう?と問う。あぁ、と応えるテオ。
しかし、ゴシップを見た周りの人間はその話題にもちきりだった。
ゴシップの話題を出される度にうんざりし、そして「ある悩み」も抱えていたダレンは
、テオに「ある提案」をする。
スクープされてからすっかり「使いもの」にならなくなってしまった言い訳も尽きてきたので、どうせならこのスクープを楽しもうと、ダレンはテオをサーフィンに誘ったのだった。
最初はパパラッチされているのを面白がっていた二人だが、テオがバレエ界から去った経緯を彼の口から直接聞かされ…彼のバレエの舞台映像を観たダレンは、どうしようもなくテオに魅かれーーー。
〜その他短編5作収録〜
↓ ↓ ↓ ↓ ↓ 以下感想文 ↓ ↓ ↓ ↓ ↓
元モダンバレエのダンサーがバレエを辞めてハリウッド界に進出し、売れっ子俳優と冗談で付合ってるフリして楽しもうか!と言ってたらその通りになってしまったよー!
という話なんですが、短編なのにめっさ読み応えあります。
当時、オリジナルのBL界からは遠ざかっていた時期だったんですが、
たまたま買った東京漫画社さんの雑誌にこの方の作品が掲載されており、
一目惚れしてこのコミックスに巡り会ったのでした。
なんと言っても絵が上手い!
ストーリー性もキャラもよし!
外人を描いてるけどちゃんと外人してる!
短編なのに長編のような読後感!
私の理想のBL像を9割り方クリアしてます。(お前何様じゃ…)
こんな素晴らしい作家さんには早々巡り会えないよなーと思ったほど。
そして今も思ってます。
まずは絵のうまさ、短編なのにこんなに読み応えがあるなんて、とビックリしました。
説明的なセリフも殆どなく、このページ数でこれだけストーリーがキチンと伝わるなんて!こんなに上手く描ける作家さんがBLがいてるなんてー!
と、驚きました。
驚いたりビックリしてばかりですが…真実です。笑
ホント、センスも良くて惚れ惚れします。
まるでルーブル美術館で絵画を鑑賞しているかのような気持ちになります。笑
しかも、静止画ではなく漫画ですから!
嬉しいです!!
しかも最後はダレンが再び女性とスクープされ、テオはプレイボーイ復活おめでとうという。
しかし、ダレンの本当の望みはテオが再びバレエの舞台に戻ること…舞台で踊るテオが観たい、と言って………。
大人!
そしてダレンはテオに舞台が跳ねたら迎えに行くよ、と言って、二人は一旦それぞれの元の道へ。
それからテオは舞台に戻りますが、そこにはダレンからの薔薇の花束が。
そこで終話。
うぇーーー!!
ハッピーエンドなのかどうなのか。難しいところです。
しかし、テオはずっと母親の為に踊ってきた舞台を、今度はダレンのお陰で戻ってこれたので、ハッピーエンドなんでしょう。
この二人の続編はないのか…と思っていたら。
あります。パァ( ᐛ )
商業誌ではありませんが、同人誌で発見!
私はヤフオクで購入しました٩(•̤̀ᵕ•̤́๑)
こちらの感想文はまた改めて。
そして、他の5話もどれも面白いです。
「エイジ・コールド・ブルー」のスピンオフもあります。
どれも外国のお話ですが、最後の1作だけ京都が舞台です。
この方の日本人のお話は初めて読みましたが、結局上手いので、
外人だろうが日本人だろうが、関係ないです。
ちょっと切なくて、でも奥の深いハッピーエンドなお話が沢山詰まった
大人…というか、多分BL関係なく普通に感動できる作品集です。
久々に読み返してもやっぱり良かった(♥→o←♥)